インバウンドデータの基本:訪日外国人の消費動向・満足度データと分析のヒント

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はじめに

インバウンド観光が再び注目を集めています。コロナ禍で大きく落ち込んだ訪日外国人旅行者数は回復傾向にあり、観光事業者や自治体にとっては、旅行者の動向を正しく把握し、戦略を立てることがこれまで以上に重要になっています。

では、インバウンド旅行者は「何人くらい」来ていて、「何にどのくらい」お金を使い、旅の体験にどれだけ満足しているのでしょうか?
こうした疑問に答えてくれるのが、観光庁が公開している インバウンド消費動向調査 です。

この調査では、旅行者を対象としたアンケートを元に幅広いデータが整備されています。すべてが公式に公開されており、自治体や事業者だけでなく、研究者や学生にとっても非常に有用な情報源です。

インバウンド観光に関わる方がデータを探すときの出発点として、参考になれば幸いです。

1. データの入手先

訪日外国人に関する統計データは、観光庁が公表している 「インバウンド消費動向調査」(旧 訪日外国人消費動向調査) にまとまっています。
公式ページはこちらです:

👉 観光庁|インバウンド消費動向調査

このページでは、四半期ごとに調査結果が公表されており、Excel形式の集計表や、PDFにまとまった概要をダウンロードすることができます。

また、2024年度から個票データも利用することができるようになりました。
利用申請をしてから数日で利用できるようになるので(自動返信ではないようでした)、より詳しい分析をしてみたい方におすすめです。

年の集計データも公表されますが、四半期単位のデータを用いると時系列で変化の推移を見ることもできます。コロナ禍の期間は調査が行われなかったので、ご注意ください。

2. どんなデータが入手できるのか

観光庁が公開している「インバウンド消費動向調査」の調査票資料によると、調査には以下のような項目が含まれています。これらを活用すれば、消費動向や旅行者満足度を多角的に分析することが可能です。


調査項目(データの中身の例)

分野主な項目
属性情報国籍・地域、同行者数、来訪回数
旅行目的・行動主な来訪目的(観光・ビジネス等)、訪問地(都道府県など)、泊数、旅行手配方法(個人手配/団体パッケージ等)
支出情報(消費動向)滞在中の費目別支出:交通費/宿泊費/飲食費/買物/娯楽等サービスなど;消費税免税の手続き実施状況
意識調査満足度、再訪意向、旅行中に「何をしたか/楽しみにしていたことか」、情報源(どこで旅行情報を得たか)

利用できる切り口・分析アイデア

これらの項目がそろっているため、以下のような分析が可能です:

  • 国別で「何にお金を使っているか」を比較
  • 初来日の訪日外国人と、リピーターで平均泊数に違いがあるのか
  • コロナ前とコロナ後で支出額や満足度にどのような変化があったか

※特にコロナ直後は国によってはサンプル数が少なく、値が不安定なこともあるのでご注意ください。

3. 満足度データを可視化してみる:韓国の例

ここでは実際に、調査データのうち 韓国からの訪日観光客の満足度 を取り出し、時系列で可視化した例を紹介します。

カテゴリー回答を点数に変換

満足度は「大変満足」「満足」「やや満足」「普通」といったカテゴリー形式で集計されています。
そのままでは変遷の比較が難しいため、この記事ではそれぞれを 1〜10のスコアに割り当てて点数化しました。

  • 「大変満足」 → 10.0
  • 「満足」 → 8.5
  • 「やや満足」 → 7.0
  • 「普通」 → 5.5
  • 「やや不満」 → 4.0
  • 「不満」 → 2.5
  • 「大変不満」 → 1.0

点数化することで、回答者の割合を用いて計算し、満足度スコアとして扱えるようになります。

コロナ期を含む全期間を表示

グラフ化では、コロナ禍で調査が中断された時期もそのまま「欠損値」として空白にしました。これにより、

  • データが存在しない期間が一目でわかる
  • コロナ前後での比較が自然にできる
    という効果があります。

「韓国の旅行者はコロナ前よりも後の方が訪日体験の満足度が高まり、その後高い水準で安定している」ということが確認できました。

カテゴリ別の支出金額もあるので、支出項目と満足度の関連性などを分析してみると新たな発見があるかもしれません。(ちょっとやってみたんですが、あまりデータポイントが多くないので断言はできない結果となりました)
こちらは金額のデータなので、Excelデータの数値をそのまま使いました。

4. まとめ

インバウンド観光の分析に役立つ公式データとして、観光庁の インバウンド消費動向調査 を紹介しました。

記事の中では特に「韓国からの旅行者の満足度」を例に、カテゴリー形式の回答を点数化し、四半期ごとの推移として可視化しました。

このように、少し工夫してデータを整理すれば自前でデータを持っていなくてもインバウンド観光客の実態を掴む分析ができ、自前の保有データと掛け合わせることでさらなる分析が可能になります。

インバウンド需要の回復が進むいま、観光庁が公開している豊富な統計は、自治体や観光事業者にとって戦略立案の強力なツールになるはずです。まずはリンク先のデータを確認し、自分の地域や関心のある国の数字を見てみるところから始めてはいかがでしょうか。